司法精神医療と医療観察法病棟

1. 琉球病院と司法精神医療

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律」(医療観察法)に基づいて、 当院は指定入院及び通院医療機関として運営しています。 包括的な司法精神医療への寄与をめざし、刑事責任能力や民事判断能力の各種精神鑑定も積極的に行っています。 高度で多くの人材を擁する精神医療を通して、新しい治療技術や治療体制の開発など精神医療全般の発展に貢献することを願っています。

2. 医療観察法の目的

不幸にして精神障害のために他害行為を行ない責任能力がないとされた者に対し、裁判所の指示により 法律に沿って治療と処遇を実施し、安心で安全な社会復帰を促進することが目的です。

3. 琉球病院の指定入院・通院機関としての役割

沖縄県を主な診療圏として包括的な司法精神医療を提供することが施設の目的です。 このために医療観察法に則りプライバシーとアメニティ及びセキュリティに配慮をした新しい病棟が建設されました。 指定入院医療機関として医療を提供し、また地域内の対象者への通院医療も提供します。

4. 医療観察法病棟(西Ⅲ病棟)の概要

治療期間

裁判所により入院処遇の指示を受けた対象者の治療に当たります。 急性期・回復期・社会復帰期に合わせて多様な治療を提供しています。 標準的な入院期間は18ヶ月とされていますが、病気の状態や対象者の社会復帰の準備に合わせて入院期間が個別に設定されます。 治療の継続や退院はすべて裁判官と精神保健審判員(精神科医師)の審判で決定されます。

治療理念

医療観察法の入院処遇ガイドラインに示される「ノーマライゼーションの観点も踏まえた対象者の早期実現、 標準化された臨床データの蓄積に基づく多職種のチームによる医療提供、プライバシー等の人権に配慮しつつ透明性の 高い医療の提供」を遵守し、琉球病院の医療観察法では「この病棟で最も大切なひとは医療を受ける人である。 この医療にかかわる全てのひとが人間性の高みをめざし、回復し、援助し、そして共に生きることへ尽力するものである」を 運営の理念として医療を行います。

治療チーム

多職種チームによる医療では精神保健指定医を含めて4名以上の医師が担当し、看護師43名、 臨床心理士・作業療法士・精神保健福祉士は7名以上、専任事務1.8名が担当しています。 このほかに警備職員が常駐しています。司法精神医学を目的で専修生や研修生も参加ができます。

治療の説明義務

治療評価会議や、倫理会議、運営会議、外部評価会議など多職種や外部委員を交えて 多角的な評価や責任体制を明確にして医療を供給します。

 

琉球病院医療観察法病棟

総面積
2,671㎡
病床数
33床(定床30+予備3床)全室個室 / PICU 1床/ 観察室 1床

 西Ⅲ病棟 医療観察法病棟配置図


玄関


中庭

沖縄の伝統である赤瓦とシーサーを取り入れ、「風と光と空気」に配慮した構造とセキュリティを中和した構造です。

めざす医療観察法

めざす医療観察法

◎主なプログラム

  1. 薬物療法
  2. 認知行動療法
  3. 疾病教育
  4. 医療観察法
  5. 作業療法
  6. 外出(院内散歩・院外外出)
  7. 外泊

※対象者ごとに治療計画を作成し、MDT(多職種)チームで連携を図りながら、必要な治療を提供しています。

高度専門医療としての司法精神医療

琉球病院医療観察法指定入院医療施設の役割

沖縄は司法精神医学の領域でも特異な位置にあります。それは琉球病院の司法精神医療が対象にする 主な範囲は沖縄県に限られており、一つの地域での司法精神医療活動がモデル化できます。

肥前精神医療センターの司法精神科医師養成研修事業・日本精神技術協会の関連施設として医師と看護師の研究養成を担います。

医療観察制度の流れ

医療観察制度の流れ

よりよい審判のために

当初審判とは

鑑定入院中の方が医療観察制度の対象となるかを審議します。対象となる場合は「入院」「通院」いずれかの決定が出されます。この審判は裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体によって行われます。

生活環境の調査とは

当初審判に当たり、保護観察所は裁判所の求めにより「生活環境の調査」を行います。この調査の結果は裁判所に提出され、当初審判の際の資料となります。

付添人について

当初審判においては国が選任する付添人(弁護士)が付きます。この場合の費用は国が負担いたします。

もし対象になったら・・・

入院が決定された場合は

裁判所で入院が決定されると、指定された医療機関へ入院していただくことになります。なお退院については裁判所による決定が必要です。

指定入院医療機関における入院処遇の目標と理念

  1. ノーマライゼーションの観点も踏まえた対象者の社会復帰の早期実現
  2. 標準化された臨床データの蓄積に基づく他職種のチームによる医療提供
  3. プライバシー等の人権に配慮しつつ透明性の高い医療を提供

入院された方へ

医療観察制度とは

対象となる人:心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人へ

目的:継続的で適切な医療により病状を改善し、これに伴う同様の行為の再発の防止を図り、社会復帰の促進をすること

多職種チームとは

皆さんの入院中に治療、リハビリテーション、社会復帰援助等を行う指定入院医療機関の専門職チームです。 医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者等で構成され、皆さんの入院から退院までを支援していきます。

入院された方の権利等について

  • *裁判所の決定に不服があるときには決定があってから二週間以内に抗告ができます。
  • *入院生活で処遇の改善を求めたいときは指定入院医療機関を管轄する地方厚生局に審査請求をすることができます。
  • *指定入院医療機関から退院したい場合、またはこの制度による医療を終了したい場合は裁判所に申し立てをすることができます。