国内初の専門病棟でのクロザピン治療を行っています。

当院では2015年のクロザピン治療の専門病棟開設と同時にクロザピンセンターを発足させました。

このセンターは入院部門、外来部門、地域連携部門、臨床研究部門の4つの柱からなっています。臨床研究部門では国立病院機構での多施設共同研究「治療抵抗性統合失調症患者へのクロザピン投与におけるクロザピン血中濃度と臨床症状に関する調査研究」や大学と連携した研究などを行っています。

クロザピンセンター

部門 概要
入院部門 国内初の専門病棟でのクロザピン(CLZ:Clozapine)導入に伴う入院治療
外来部門 クロザピン専門外来
地域連携部門 退院後の沖縄県内クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS:Clozaril Patient Monitoring Service)登録病院との地域連携「沖縄モデル」の取り組み
臨床研究部門 クロザピン血中濃度と臨床症状に関する多施設共同研究
大学と連携した研究 など

医療関係者の皆様へ

当院での延べ登録患者数が400例を超えました。 (2023年11月)

2009年7月に国内で治療抵抗性統合失調症の治療薬であるクロザピン(CLZ)が上市されて14年になります。当院でも2010年2月から重度の精神症状を有する統合失調症の患者さんにCLZ治療を開始し、当院での延べ登録患者数が400例を超えました(2023年11月)。医療機関別にみると、これは国内で3番目に多い症例数となります。

多職種チーム医療による心理社会的治療を丁寧に行うことで治療効果を最大化

2015年7月には国内初のクロザピン治療専門病棟(56床)を当院に開設しました。CLZによる薬物療法を基礎にして、医師・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・心理士などの専門職による心理社会的治療を丁寧に行うことで治療効果の最大化を図っています。

また無顆粒球症、心筋炎・心筋症、けいれんなどの有害事象の発現防止と早期発見のために、血液・尿検査だけではなく、心エコー、心電図、胸部レントゲン、脳波などの定期的な諸検査をクリニカルパスに組み込み、確実に実施することで安全性を担保しています。

このような多職種チーム医療を実践することで、重度の精神症状のために入退院を繰り返したり、長期入院となったり、多飲水や暴力などの問題行動のために隔離や身体拘束を要する患者さんでも精神症状が大幅に改善し、行動制限が不要になり、退院して就労事業所へ通所を始めるなど社会復帰をする例も増えています。

地域連携「沖縄モデル」の取り組み

CLZ導入の際にはクロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)登録病院での入院治療が必須となります。

CLZ導入時の入院治療を当院の専門病棟で行い、退院後はかかりつけ病院の外来で通院治療を継続するという地域連携「沖縄モデル」を2014年に当院が中心となって立ち上げ、運営しています。沖縄県内の医療機関との連携も深まり、現在は新規登録症例の7割以上が紹介例となっています。

こうした地域連携が厚生労働省の難治性精神疾患連携体制整備事業のモデル地域にも選ばれ、全国的にも注目されました。この取り組みを成功させることでCLZ治療の国内での更なる普及に繋げたいと考えています。引き続き、適応のある患者さんのご紹介をしてくださるように宜しくお願いいたします。

沖縄県内のCPMS登録医療機関

医療機関名
所在地
医療法人社団 輔仁会 田崎病院
沖縄県那覇市字松川319番地
医療法人 天仁会 天久台病院
沖縄県那覇市天久1123番地
オリブ山病院
沖縄県那覇市首里石嶺町4-356
医療法人 へいあん 平安病院
沖縄県浦添市経塚346番地
医療法人 タピック 宮里病院
沖縄県名護市宇茂佐1763-2
医療法人陽和会 南山病院
沖縄県糸満市字賀数406番地の1
糸満晴明病院
沖縄県糸満市字大度520番地
医療法人卯の会 新垣病院
沖縄県沖縄市安慶田4丁目10番3号
医療法人一灯の会 沖縄中央病院
沖縄県沖縄市知花五丁目26番1号
医療法人社団志誠会 平和病院
沖縄県うるま市字上江洲665番地
沖縄県立宮古病院
沖縄県宮古島市平良字下里427-1
医療法人 博寿会 もとぶ記念病院
沖縄県国頭郡本部町字石川972
独立行政法人 国立病院機構 琉球病院
沖縄県国頭郡金武町字金武7958-1
琉球大学病院
沖縄県中頭郡西原町字上原207番地
沖縄県立精和病院
沖縄県島尻郡南風原町字新川260番地
医療法人フェニックス 博愛病院
沖縄県島尻郡南風原町字新川485番地の1

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